メルボルンってどんなとこ?

オーストラリアのメルボルンに夫婦と子供2人で住んでいます。カフェ、ビール・ワイン、自然や人々について書いていきます。

Welcome to Melbourne

7年連続「世界一住みたい都市」に選ばれた都市・メルボルン

【メルボルン】都市の概要

コロナウイルスで世界中が大変なことになった2020年ですが、残念ながら多くの国では、年が変わっても厳しい状況が続いていますね。

メルボルンでは厳しいロックダウンが功を奏して、年末まで61日間「新規感染者ゼロ」が続いたのですが、大晦日に三人の感染者が確認されて以降、ぽつりぽつりと感染者が見られました。

幸いなことに、重点的な検査とコンタクト・トレーシング、感染者の隔離によって、またゼロに戻っています。ワクチン普及までは少し時間がかかるようなので、それまでの間にまた苦しいロックダウンに逆戻りしないといいのですが。

 

さて、諸事情(というかロックダウンによる生活のゴタゴタ)によって全く投稿していなかった本ブログですが、本日から少しずつ書いていきます。

日本からメルボルンに来ることは今は簡単ではありませんが、いずれ訪れる方のお役に立てればと思っています。

 

まず本記事では、メルボルンという都市を概観していきます。

 

 

概要

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メルボルンは、シドニーに次ぐオーストラリア第二の都市です。

最大の都市シドニー、観光先として人気のケアンズ、ワーキングホリデーに訪れる方の多いゴールドコーストなどと比べて日本での知名度は低いですが、約500万人の人口を擁する活気あふれる都市です。

この都市の最大の魅力は、その「住みやすさ」にあり、英エコノミスト誌の調査部門であるエコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)が行っている「世界で最も住みやすい都市」ランキングで、2011年から2017年までの7年連続でメルボルンが1位を獲得しています。

実際に暮らしてみると、人種の多様さと人々の寛容さ、たくさんの身近な公園・ビーチや雄大な自然、文化や食べ物など、世界一暮らしやすい都市というのも嘘ではないと思っています。

 

行政

政府でもメディアでも、ひとことで「メルボルン」と呼ぶ場合、一般的には「メルボルン都市圏(Greater MelbourneまたはMetropolitan Melbourne)」のことを指しています。このブログでも「メルボルン」と書く場合には、メルボルン都市圏のことを表しています。

さて、ややこしいことに、「メルボルン都市圏」には大きく2つの定義があります。1つ目は自治体を基本単位とするもので、州政府などが今回のロックダウンでも用いていました。2つ目はオーストラリア統計局が定義している、都市化したエリアに着目したものです。

メルボルンが位置するヴィクトリア州は、79の基礎自治体(Local Goevernment Area: LGA)から構成されています。1つ目の定義では、そのうち31のLGAがメルボルン都市圏に含まれます*1自治体を単位にしているので、境界がわかりやすいという利点があります。

 

2つ目のオーストラリア統計局の定義では、上記31のLGAに加えて、Mitchell Shire、Murrindindi Shire、Macedon Ranges Shire、Moorabool Shireの4つのLGAの一部がメルボルン都市圏に含まれます*2。なお、1つ目の定義では全域が含まれていたYarra Ranges Shireについては、東側の地域が除外されます。この定義では、メルボルンは合計35のLGAにまたがっているわけですが、google検索で調べてみても、「35の自治体で構成される」とする記載は見当たりませんでした。やはり自治体をベースにした表現は1つ目の定義に代表されるのではないかと思います。都市圏としての人口の算出にはこちらが用いられているようです。

こうした「どこまでがメルボルンなのか問題」はオーストラリア人にとってもわかりにくいようで、州政府がロックダウン対象地域を「Metropolitan Melbourne and Mitchell Shire」と発表した際には、メルボルンとはどこまでを指すのかニュース記事*3が出たほどでした。

 

そんなわけで、いわゆる「メルボルン」を直接管轄する行政主体は存在しません*4。広域にまたがる行政は州政府が主導することが多いですが、都市計画は州政府の計画と各LGAの計画のコンビネーションになっており、メルボルンの行政を行う上で両者の協力は不可欠になっています。

ゴミの回収、公園の管理、地域のイベントなどはLGAが主導していますので、日常的に関わりがあるのはLGAの方です。公衆衛生は州の所管なので、コロナウイルスパンデミック以降は州政府の発表を目にする機会が圧倒的に多くなりましたが…

 

人口

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メルボルンの人口は2019年時点で5,078,193人と推定されています*5。正確な数値は、今年行われるセンサスによって明らかになる予定です。なお、この人口の推計は2つ目のメルボルン都市圏の定義に基づいています。

メルボルン全体の人口密度は509人/ km^{2}です*6

メルボルンの人口は福岡県の人口(約510万人)とほぼ同じですが、人口密度はメルボルンが福岡県の半分くらい、ということになります。

最も人口密度の高いLGA(City of Port PhillipやCity of Yarra)でも5,000〜6,000人/ km^{2}程度であり、オーストラリアのイメージ通り、広い土地にゆったり暮らしています。もちろん全ての人が当てはまるわけではなく、世代間の格差や公営住宅の生活環境などが問題になっています。

実は、メルボルンの人口は2026年にはシドニーの人口を上回ると予測されており、1860年代から約160年ぶりにオーストラリア最大の都市となるようです*7

 

気候 

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メルボルンの生活で最も戸惑うことの一つは、何と言ってもその特殊な気候です。

寒かったり暑かったり、晴れたり雨が降ったり忙しいんですね。そんなわけで、メルボルンでは「一日の中に四季がある」と言われています。

1日のうちに、日焼け止め、サングラス、ビーチサンダル、傘、それにスカーフ(あるいは上着)を使ったことがなければ、一人前のMelburnian(メルボルン人)とは言えないんだとか*8

確かに、気温が低くても日差しは厳しいので日焼け止めは必須ですし、熱波の直後の1時間で気温が約20℃下がったなんてこともありました(クールチェンジと呼ばれる現象のようです)。雨に関しては、実際は傘を使うよりも、フードをかぶったり店の軒先で雨宿りをしたりしてやり過ごす人が多いように思います。 

 

文化

メルボルンは文化的にとても魅力的な都市です。

街の中心部には1800年代の歴史的な建造物やアーケードが多く残っていて、それらがストリートのアートとうまく溶け合っています。メルボルン市庁舎やロイヤルアーケードなどは、いずれも1860年代に完成したものです。150年以上経っても生活の一部になっているのは、古き良きものを残そうとする考えと、地震などの災害の少なさによるものと思います。

これらは都心部に限った話ではなく、多くの郊外の自治体で建物の外観に関する規制があり、古い建物や景観が維持されるようになっています。

また、夏〜秋口ごろにかけては、全豪オープンやF1オーストラリアGPなどのスポーツイベント、そして芸術や食に関するイベントが盛り沢山です。また、ギリシャフェスティバル、日本フェスティバル、中国春節祭、インドフェスティバル、ナイトヌードルマーケット(麺料理のお祭り)など、移民が多い国ならではのイベントも数多く開かれます。都心以外でも、多くの自治体が食や芸術のイベントに力を入れています。アートフェスティバルや映画の上映会、ジャズやクラシックの演奏会、ファーマーズマーケットなどのイベントを楽しむことができます。こうしたイベントはほとんどが公園で開催されており、地元のビール、ワイン、フードを同時に楽しむことができるのも魅力です*9

食文化の多様さメルボルンの特徴の一つです。フィッシュ&チップスやミートパイなどの英国由来の食べ物も愛されていますが、イタリアン、ギリシャ料理ベトナム料理、タイ料理、そして寿司はメルボルン人の生活の一部になっています。特に寿司はヘルシーなファーストフードとしての地位を確立しており、ランチタイムにはベンチなどで寿司(海苔巻き)を頬張っている人がたくさんいます。

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また、都心部や郊外には数多くのブルワリーがあり、さらに離れるとワイナリーやディスティラリーウイスキーやジンの蒸留所)があります。郊外のブルワリーやワイナリーにはレストラン・パブや宿泊施設がついていることもあるので、ツアーで行くよりもレンタカーを借りて行ってメルボルン人のようにゆっくり過ごすことをオススメします。

そして、忘れてはいけないのがカフェ文化です。メルボルンには約2,000のカフェがあるとのこと*10。通勤時でも、勉強でも、くつろぎたい時でも、仕事の打ち合わせでも、メルボルン人はカフェ、カフェ、カフェです。

メルボルン人はバリスタのいないカフェを避ける*11」らしいのですが、私はバリスタのいないカフェをほとんど見たことがありません(笑)。内装がおしゃれなお店、フードメニューが豊富なお店が多いので、それらも含めてメルボルン人はカフェ文化を楽しんでいるようです。

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以上、メルボルンという都市の概要について簡単に書いてみましたが、ここでご紹介したこと、特にワインやビール、食文化については、また詳しく書いてみたいと思います。

*1:ヴィクトリア州政府資料より Metropolitan Melbourne - Live in Melbourne

*2:Shire(シャイア)というのは、市と同じように州の下の行政区分ですが、比較的人が少ない行政区分になります

*3:2020年7月7日ABCニュース Metropolitan Melbourne map: Which suburbs are in lockdown under the new coronavirus restrictions? - ABC News

*4:City of Melbourne(直訳するとメルボルン市)というLGAがあるのですが、これはメルボルン都市圏のごく一部、中心部分を管轄している自治体であり、一般的に言われる「メルボルン」とは別物です。

*5:.id - community expertより About the profile areas | Greater Melbourne | profile.id

*6:同上

*7:2020年12月5日オーストラリアン紙 NoCookies | The Australian

*8:真のメルボルン人になるためには他にも色々条件があるようです。2013年8月6日ヘラルドサン紙 No Cookies | Herald Sun

*9:日本語のウェブサイトやブログだと「オーストラリアでは公共の場所ではお酒は禁止」と書いているサイトが散見されますが、少なくともメルボルンでは「場所と時間による」というのが正しい説明です。例えば、City of Melbourneの場合、中心部(CBD)は公共の場所での飲酒は禁止です。クイーンヴィクトリアマーケットのフェスティバルなど、お酒を飲むことができる区画が設けられている場合でも、お酒を持って区画を出ようとすると没収されます。一方で、多くの公共の公園は、少人数で節度ある飲み方をする分にはOK、とされています。また、City of Port Phillipは、夜間の飲酒を禁じています。このように場所と時間で規制が異なるため、判断に自信がない人は飲酒は避ける方が無難ということかもしれません。以下のURL(英語)に、どのような場所、時間に規制があるかLGAごとに一覧になっていますが、より正確に知るにはそれぞれのLGAのホームページを確認することが必要です。

https://www.portphillip.vic.gov.au/media/uj0fzdgf/8-3-attach-4-drinking-in-carlisle-st.pdf

*10:Melbourne's best coffee shops -Tourism Australia

*11:2013年8月6日ヘラルドサン紙 No Cookies | Herald Sun